技術経営(MOT)を学んでいる理由

父親がエンジニアだった影響か、小さいころから工作とか好きだった。学校の勉強では数学や理科が得意だったし、高校の進路選択では特に迷わずに理系を選んだ。当時、ロケットのエンジニアになりたいと思って、東京大学理科一類を選んだ。

大学に入って、これからは宇宙よりもロボットの時代になるんじゃないかと思って、ロボットのエンジニアになるための勉強ができそうな工学部機械情報工学科に進学した。2年生の後半からぼちぼちC言語とかの演習が始まっていくんだけど、僕はプログラミングにはあまり触れたことがなかったので、演習は結構大変だった。しかも、同じ学年にすごくプログラミングできる人間が何人かいて、僕は演習をこなすだけで精一杯なのに、そいつらは僕よりすごいものをさくっと作ってしまう。それでいて、彼らはすごく勉強熱心だった。努力が足りなかったといえばそうなのかもしれないんだけど、僕はそこまでの情熱を傾ける気になれなかったし、どれだけ頑張ってもそいつらに勝てる気がして、ロボットへの情熱はすっかり冷めてしまった。

そして、4年生のときに研究室に配属されて、研究に取り組むことになる。一日中研究室にいて、一つの技術を極めていくという生活は自分の性に合っていないかもしれないと思い始めたんだけど、明確にやりたいことがある訳じゃなくて、結構悩んでいた。

当時、ベンチャーブームだったのが理由かもしれないけど、漠然と経営というものに興味を持ち始めていて、たまたま食堂に張ってあった技術経営戦略学専攻のポスターを見たのが進路変更のきっかけだった。

テクノロジーから離れるつもりで今の大学院に来たのだけど、CEATECとかIT・電機関係の展示会とか行くとすごくワクワクする自分に気づいた。エンジニアとしての道からは離れてしまったけれど、小さいころにモノを作るのが好きだった気持ちは変わっていないのかなという気がした。

そのあたりから、技術が持つ可能性を見極めて、ビジネスを作り出していくという技術経営の考え方が自分とすごく合っていて、この道ならば自分ならではの生き方ができるような気がしてきた。先端的な技術とビジネスの双方を理解できる人となるために、MOTを学んでいる。

ということで、エンジニアへの道で挫折した訳だが、その結果、自分がもっと情熱を傾けられるフィールドが見つかったのは、よかったと思っている。来年からは経営コンサルタントとして仕事をしていくが、技術経営の道を極めていきたいと思っている。