変わりゆく地元

浜松市長になった人が住む家である浜松市長公舎は僕の実家の目の前にあった。ただ、去年3月の浜松市長選挙で、市長公舎は税金の無駄なので廃止しますという公約を掲げた候補が当選してしまったため*1、廃止となってしまった。

 浜松市の第一次行革審で不要論が出て、存廃をめぐっては昨年の市長選の“争点”ともなった同市の市長公舎の本格的な解体作業が15日、始まった。鉄筋コンクリート2階建て会議棟から着手し、木造居住棟を含め、3月中旬には更地になる予定。存続案が最後まであったが、38年間の歴史に幕を下ろす。
 公舎は市内中区広沢の閑静な住宅街にあり、居住棟は昭和45年建築の260平方メートル、会議棟は同47年の480平方メートル。新市長当選後の昨年後半にも存続・活用案が出たが、市長の公約通り完全廃止が決定的となり、年末から解体準備に入っていた。
 足場が組まれ、解体シートに包まれた会議棟からは作業音が響き、近くの住民は「寂しいです」と見守った。敷地は2700平方メートル。跡地は売却を含めて検討する方向だが、地元からは公園への転用要望が出ている。
静岡県内ニュース(社会):解体作業、本格スタート 浜松市長公舎

年末年始に帰省した時点では取り壊し前だったのだけど、この静岡新聞の記事によると解体作業も始まった模様。ちなみに「近くの住民」というのは、僕の親とかご近所さんたちのこと。それなりに閑静な住宅街で、そこそこ広い土地ができるということになるので、不動産業者からの引き合いもかなりあるみたい。そこで、近くの住民で検討会議のようなものを開いて、でかいマンションが建ってしまったりしないように意見書を出したりしているらしい。

記事にある通り、公園にして欲しいと要望も出しているみたいだけど、せっかく税金の無駄遣いをなくすために市長公舎の廃止を決めたのに、そこを公園としてしまうのももったいない。なので、僕としては、複雑な気持ちだけど、景観を阻害しない程度のマンションを作るのがいいのかもしれないなと思っている。

僕は浜松で生まれ、高校までの18年間を過ごした。かなり地元には愛着を持っているが、浜松から離れて6年も経つと、いろいろと変化があって、帰省するたびに、ちょっとずつ変わっていく街に驚いてしまう。中学校のときに通った塾の校舎が立派に改築されていたりとか、駅前で集合場所といえば「花時計」だったはずなのに怪しい広場に変わってしまったりとか、実家のすぐ近くにあったローソンが潰れてコンビニが遠くなってしまったりとか。

ちょっとずつの変化だけど、僕は半年に1回とか帰省するだけで、その変化をまとめて見ないといけないので、ときどきその早さに驚いたりする訳だ。多少なりとも思い出があるものがなくなってしまうのはさみしいし、これは僕が知っている浜松とはもう違うものなのかもしれないという気がしてくる。

僕は来年からも東京に住んでいくつもりだし、生活の拠点が浜松に戻るということはないと思う。ときどきは帰省するけど、そのときに浜松はどんな風に僕を迎えてくれるのか。楽しみでもあり、怖いところでもある。

*1:その人が当選した理由はそれだけではないが。