東京大学の改革

今日、家のポストに「東京大学からのお知らせです」と書かれたA4大の封筒が入っていた。

大学からのお知らせとか言われると、やましいことはなくても、なんとなく身構えてしまったりする自分がいる訳だが、中身は東大のアクション・プランを説明した資料だった。おそらく「アクション・プランパンフレット2007」と一緒だと思われる。

今までこんなものが送られてきたことはなかったので、ちょっとびっくり。東大って、僕が入学したころ(2002年)くらいまでは、かなり学生に対してサービスも悪くて、何もしなくてもある程度の額のお金とある程度の質の学生が集まっていたのに胡坐をかいていた感じがある。

国立大学の法人化で、大学ごとの裁量が増えたし、今後、大学への運営費交付金も徐々に減っていくこともあって、東大もいろいろと新しい取り組みを始めた。その影響で、大学の環境も大きく変わってきたと思う。

UT-Lifeだったり、知の創造的摩擦プロジェクトといった学生と大学がうまく協力するようなプロジェクトも生まれて、自分もそれら立ち上げに関わっていたので、ここ3年くらいの変化の大きさを肌で感じてきた。昔だったら、学生と当局は対立するのが当然だった訳で、そこから比べると、今は双方にとって、よい関係ができてきているのではないかと思う。

他にも、今年で130年の歴史の中で、就職課に相当するキャリアサポートグループができたのは一昨年だし(それまでは卒業生の進路は各学部で把握はしていても、大学としては無関心だった)、高校生向けに大学説明会を開催したりと、枚挙に暇がない。学内に、ローソン、ドトール、スタバ、サブウェイなど外部の店舗が次々参入しているのも、学生にとっては大きな変化だ。

そんなに積極的に東大の改革が進んでいるのは、2005年に総長に就任した小宮山先生の影響が大きいと思う。小宮山総長は、大学教授にありがちな小難しい表現を並べ立てたようなスピーチをしないで、すごく言っていることが分かりやすく、的を得ていて、学外への情報発信という面でもすばらしい総長だと思う。

今日、我が家に届いたアクション・プランは、小宮山総長が任期中に実現することをまとめた冊子である。大学としてこのようなものを制定しようということになると、いろいろと抵抗勢力的な人たちがうるさいので、小宮山総長自身が目標としていることをまとめた決意表明という位置づけらしい。

東大の大きな組織なので、変わることにはすごく抵抗があると思うのだが、そんな中でトップが自らのビジョンを示し、このような形で学生にまで冊子を送ってくるというのは、すばらしいことだと思う。小宮山先生の任期は今年を含めてあと2年あるが、その間にどこまで東大が変わるのか期待したいと思う。

ちなみ、今年発売された、小宮山総長の著書「東大のこと、教えます」という本が面白かった。東大総長ともあろう方が、あんなにフランクにいろんなことを答えてしまって、いいのかなというくらいざっくばらんに語っている。興味があれば、ぜひ。

東大のこと、教えます―総長自ら語る!教育、経営、日本の未来…「課題解決一問一答」

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