甲子園

僕は高校野球が好きだ。野球が好きなのではなくて、高校野球が好きなのだ。

理由はたぶん2つある。

1つ目は、選手たちの真剣さである。高校球児たちは、誰しもが甲子園を目指し、高校生活3年間を野球に打ち込み、1つでも負けたら高校野球は終わり、もうこの仲間とは野球ができないという状況で見せる必死な姿に胸を打たれる。

2つ目は、プロなるような選手だけでなくて、地味なレギュラー選手にも、控えでベンチから声を出している選手にも、残念ながらベンチ入りできずスタンドで声援を送っている選手にも、それぞれドラマがあることだ。

正確には、大学野球でも、サッカーでも、果ては普通の生活の中にでも、隠れたドラマはあると思うのだけど、甲子園にかける思いの強さゆえに多くのドラマが生まれるのだろう。それが高校野球の人気を呼び、よく特集されるため、目にする機会も多い。それがさらに人気を呼び…、というスパイラルになっているのだろう。たぶん、僕が箱根駅伝が好きなのも同じような理由だと思う。

僕はこの時期になると、熱闘甲子園という番組を欠かさず見ているけど、内容の薄いスポーツニュースとは違って、目立たない選手の隠れたエピソードにフォーカスしてくれているところがいい。すごく、力をもらうことができるような気がする。

最近、過去に甲子園で活躍した選手のその後を描いた本を読んだ。タイトルは「一生分の夏」。いいタイトルだなぁと思う。甲子園が開催されるたった2週間の間に、鮮烈な輝きを放った選手たち。彼らは、一生分の夏を過ごしたと言っても過言ではない。

今年も、甲子園の夢舞台に立った選手たちは、一生分の夏を精一杯過ごしている。そんな選手たちをテレビで見て、僕も毎日毎日を一生分輝くつもりで真剣に生きていきたいと思った。

一生分の夏―いつも胸に甲子園があった。

一生分の夏―いつも胸に甲子園があった。